FIFA規律委員会 ジダン、マテラッツィ両選手を処分

2006年7月20日

世界的に波紋の広がっていたワールドカップ決勝戦でのジダンによる頭突き事件について、FIFA規律委員会は20日ジダンへの事情聴取を終え、ジダン、マテラッツィ両選手に処分を下した。注目されていたマテラッツィの発言の内容については「侮辱的ではあるが差別を含むものではなかった」と発表された


私もこの騒動についてはこれまで注目してきたが、世界最大のスポーツイベントであるサッカーワールドカップの決勝戦で差別的な言葉が選手の口に上ったのでなかったことはよかったと思う。これまでの記事ではマテラッツィへの疑惑を煽るような書き方をしてきたことについても(本人が目にする可能性はほとんどないとは思うが)お詫びしたいと思う。

これでひとまず一件落着ということになるが、割り切れなさが残るとすれば、たとえあからさまな差別的発言がなかったとしても、ジダンがあのような反応をしたのにはそこに差別的意図を感じとったからであり、マテラッツィの側もジダンが移民の息子として背負ってきた悲しみを承知の上で敢えてそこにつけこもうとしたのではないかという疑念を最後まで拭い去ることはできないという点にあるだろう。日本でTV観戦しているだけでは中々実態を把握することが難しいのだが、欧州サッカー界では人種差別の問題は根強くくすぶり続けているようだ。FIFAが今大会で差別反対をスローガンとして掲げたのもこの問題が決して看過することができない状態にあるという危機意識の表れなのだろう。空き地とボールが一つあれば誰でも手軽に楽しむことができるために世界で最も普及の進んだスポーツであるサッカーがそのような状態にあるというのは極めて憂慮すべきことである。今回FIFAがマテラッツィにも処分を下し、言葉による暴力にも毅然とした態度をとるというメッセージを発したことが重く受け止められるよう望みたい。


次回のワールドカップが開かれる南アフリカはこの問題が最も深刻な事態を引き起こしたことで知られる国。サッカーに携わる全ての人々の見識が問われることになるだろう。

今回の件では多くの失望を味わったが、それでもスポーツには世界の人々を結びつける力があると信じたい。

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コメント

ジダンは青少年とボランティアをすることを申し出たそうですね。
処分も出たし収束するかな。

マテラツィ側の主張(侮辱したことは認め、差別発言は否認する)に沿った処分となったのは、自供以外は事実確認が難しいし、妥当じゃないかな。むしろ暴言がめずらしくないことを考えれば、重い処分じゃない?
とにかく、試合中の攻防(プレー)は、サッカーの醍醐味。プレーの話の方が面白い。実際、暴言・頭突きを除けば、今回のW杯は、ディフェンス技術の進化、それに対するミドルキックの多用とか、そういったプレーの変化・進化に注目した話題が多かった。そのことをヨーロッパで感じ伝えようとした中田は引退しちゃったけど、世界からとり残されないように、日本もがんばってね。

-> アキラさん

ジダンは引退する選手なので出場停止3日間の措置を3日間の社会奉仕活動への参加によって代替するということは早くから伝えられていましたが、ジダンの申し出により決定したようですね。挑発した相手側も罰せられたことで彼も納得した裁定だったのでしょう。



-> シーン2さん

発言内容については両者の証言が一致したようです。今まで暴言が野放しにされていたことを思えばマテラツィへの処分内容はジダンよりは軽いとはいえ異例の重い処分といえるでしょうね。

仰る通り今回のワールドカップは全体としては充実した内容の大会でしたね。進化し続ける世界のサッカー界で日本がどう戦っていくべきなのか、困難な課題が突き付けられましたね。

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