寺嶋由芙さんワンマンライヴ「ピピピっのレッツぐる〜ヴ!」

2017年3月29日

先日の日曜日に寺嶋由芙さんのワンマンライヴ“ピピピっのレッツぐる〜ヴ!”に行ってきた。現場レポートは得意じゃないのでシングルをレヴューする際に簡単にふれるくらいにするつもりでいたのだけど、諸々の雑然とした感想をまとめておきたくなったので書くことにする。

内容の詳細はゆっふぃー自身のブログを参照していただくことにして、まず一つの目玉は“キラキラシャミセニスト”の川嶋志乃舞さんがサプライズゲストとして登場したことだった。サプライズとはいっても諸般の情勢からかなりの確度で予測できたので出演自体は驚きではなかったけど、最初に一人で登場してひとしきりソロを聴かせるという進行はやはり意外だったし、「終点、ワ・タ・シ。」以外の二曲の選曲にも意表をつかれた。志乃舞さんはいかにもなイマドキ女子が邦楽器を弾きこなすという意外性に目を奪われるが、ライヴの翌日に東京藝術大学を卒業した本格派で、ステージの上を跳びはねながら三味線を掻き鳴らす姿からは心から音楽を楽しんでいる様子が窺われた。後で知ったのだけど、最近おばあさんを亡くしたばかりだったそうで[1]、そんなことを微塵も感じさせない舞台での振る舞いに、肝の据わったプロ根性を見た思いがする。

肝腎のゆっふぃーの歌は、プロデューサーの加茂啓太郎さんからのお褒めの言葉[2]にもあったようにますます磨きがかかり、連日のリリースイベントの疲れを感じさせないきれいな歌声を存分に楽しめた。特にうれしかったのは、今回は座席が真横からゆっふぃーを見る位置だったにも関わらず、「101回目のファーストキス」でフレーズの合間に目線をくれた(と思っている)ことだった。

この日の会場の品川プリンスホテルClub eXは、円形のステージを周り360度座席が取り囲む配置で、アイドルとヲタクが一体となった親密な雰囲気を作り出していた。特に各曲の落ちサビで繰り広げられる“ケチャ”の光景(写真)は、本場のバリ島の儀式を思わせる壮観さだった。

この広すぎないスペースゆえの親密さにはなかなか得難いものがあったのだが、ゆっふぃー自身は、空席が目立つというほどではないとはいえソールドアウトさせることができなかったことに悔しさもにじませている。この日はちょうど年度最後の日曜日ということもあっていくつかのグループが解散ライヴを行っており、下火になったというほどではないにせよ、アイドルブームも曲がり角にさしかかっているのは確かなようだ。現場派のアイドルヲタクが求めるのは若さだとか初々しさだとか努力ではいかんともし難いことだったりするのだろうし、20代も半ばを迎えたゆっふぃーにとってはいろいろと考えさせられるところも多いのだろう。

そんな危機意識も漂わせたゆっふぃーの言葉を読みながら、昨年のAKB48の紅白選抜の投票結果を何となく思い出した。この投票は一人一票でCDを買わなくても参加できるということもあり、総選挙とは違った傾向を示していたのが興味深く、特にテレビのバラエティなどではあれほど活躍しているのに総選挙の結果はぱっとしない大家しーちゃんや市川みおりんが見事に選ばれていたのが印象的だった。グループ内で傑出したヴォーカリストである山本さや姉が一位に輝いたことも含め、見てる人はちゃんと見てるのだな、と感じさせられた[3]

この日はライヴを後援しているテレビ番組「japanぐる~ヴ」で共演する映画評論家の添野知生さんも会場にいらしていた[4]そうだけど、世にかわいいアイドルは多くても、こういう番組でMCを安心して任せられる子はそうそういるものではないだろう。映画の情報が目当てで番組を見ている人たちの中に「MCのお姉さん知的だけど気取ったところがなくて親しみやすいな」といったようなことを感じている人も一定数いるのは確実で、ライヴの動員などの数字に直接は表れなくても、見る人はちゃんと見ている。そこを信じて励みにしていくしかないのかな、などと、「長く楽しく一緒にいられるように」というゆっふぃーの思いをありがたく共有しながら、そんな風につらつらと考えてみた次第である。


脚注
  1. ^ 川嶋志乃舞さんの3月27日付のツイート
  2. ^ 加茂啓太郎さんの3月27日付のツイート
  3. ^ 逆に総選挙を積んでいるコアなヲタクたちは握手会の対応などで見せるメンバーたちの努力をよく見ているのだろう。
  4. ^ 添野知生さんの3月27日付のツイート
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コメント

sergeiさんも、会場でご覧になっていたのですね。私も当日のことを思い出しながら、本当に内容的な厚みのある記事を読ませていただきました。

川嶋さんの三味線は、花を添えるだけでない強い印象を与えてくれましたし、ゆっふぃーの安定した歌唱にも癒されました。”ケチャ”の壮観さ、というくだりには笑ってしまいましたが、こういう雰囲気に普段合わせない私も、さすがに一緒になって頑張りましたよ(笑)

アイドルを見るにつけ、あの人は、この人は、5年後10年後にもアイドルでいられるだろうかと、どうにもならない先のことが頭の中をよぎることがありますが、いつまでも楽しく美しく輝いていく人であってほしいと思います。

-> ysheartさん

楽しいライヴでしたね♪ ケチャへの参加お疲れ様でした(笑)。あ、ysheartさんのレポートも楽しく読ませていただきましたよ!

去年の暮れくらいから各所で大きな動きが頻発しているアイドル界ですけど、ゆっふぃーの根っからの“まじめさ”がちゃんと報われるといいな、と強く願っています。まあリリース週の日曜日にもう次のライヴやリリースの情報をアナウンスできてるうちは大丈夫なんでしょうけどね。この幸せが長く続いて欲しいものです…。

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